第25章 覚悟の時間
ナイルに連れられて着いた先は、
煌びやかな装飾が施されたホテルの一室だった。
「さすが師団長……
ホテルまで高級ですね。」
凛は無駄に広い部屋の真ん中に立つと、
ゆっくり部屋の中を一望する。
「エルヴィンにはこういう場所に
連れて来てもらってねぇのか?」
ナイルは憲兵団のジャケットを脱ぎ、
ハンガーに掛けながら問いかけた。
「団長と私は、師団長が期待しているような
関係じゃありませんからね。」
「別に俺は期待してる訳じゃねぇよ!」
「……そんなムキにならなくても。」
声を張って言い放つナイルを見て、
凛は少し頬を緩める。
ナイルは一瞬凛の顔を見入るが、
「シャワー浴びてくる。適当に寛いでろ。」
と声を掛け、シャワールームへ向かった。