第24章 売り言葉に買い言葉
「凛はナイルを直接説得して、
調査費用を調達しようとしているんだろう。
もしそれが上手くいけば
凛の自信にも繋がるし、
こっちとしてもありがたいじゃないか。」
「お前はこんな場面でも仕事脳だな……」
「腹の中は悶々としているが、
この賭けは上手くいけば
色んな意味での収穫が大きいからな。」
リヴァイはエルヴィンの表情を盗み見る。
先程から特に表情に変化は見られないが、
鋭い眼差しからは複雑な心境が
表れている気もした。
「凛の行動が調査兵団の利益に繋がれば、
凛はもう貴族のパーティーに
付いて行きたいなんてことも
言わなくなるだろう。
身体を差し出す以外でも、
力になれる方法があることに
気付いてくれる筈だからな。」
「それならもし、それを条件に
ナイルが凛に手を出したとしたら?」
リヴァイの問いを聞くなり、
エルヴィンは頬を緩める。
「ナイルにそんな勇気はない。」
「……万が一ってことが
あるかも知れねぇだろうが。」
「ナイルはマリーに……
自分の嫁に、心底惚れてる。
家族を裏切るような真似はしないよ。」
「どうだかな……」
リヴァイは不機嫌な表情のまま、
二人の背中を見送った。