第5章 モブリットの情動
部屋に入る凛さんの背中を見て、
少しばかり鼓動が速くなる。
寝間着姿は初めて見るが、
薄い生地のワンピースは
身体のラインが分かるほど
薄っすらと透けていて、思わず目を逸らした。
凛さんにはまるで警戒されて
いないようだけど、一応俺も男だ。
それなりの欲求が湧き出てくることだって、
少なからずある。
今も相当悶々とした感情が巻き起こって来たが、
色んな意味で、理性を保つのは
仕事上慣れているから、
その欲求は少し目を瞑るだけで治まった。
部屋に入ると、
オイルがかなり残ったランプが
ついていることに気付き、ある予感が頭を過る。
「……凛さん。ちゃんと寝てましたか?」
そう問いかけると、
一瞬凛さんの動きが止まり、
自分の読みが当たっていたことを察した。