第5章 モブリットの情動
次の日の朝。
モブリットは凛の部屋の前に立っていた。
昨晩、
耳を疑うような言葉を聞いてしまったせいで、
別のことを考えるのに必死になり、
結果、資料や勉強道具を回収することが
出来なかった。
だから今こうして、こんな早朝から
凛さんの部屋の前に居る訳だが、
今日彼女は休みな訳で、
まだこの時間はさすがに寝ているだろう……
でも、朝の座学から必要な資料だけは、
今手元にない時点でかなりピンチな状況だ。
最近訓練が忙しかったせいで、
まだ教える内容を纏めきれていない。
今から纏めてもギリギリなくらいだろう。
休日の凛さんを早朝から
起こしてしまう事実に
申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも、
恐る恐る部屋のドアをノックした。