第21章 小出しになんてできない想い
「お前がよく見てたやつを買ったからな。
それはお前にやるよ。」
そう声を掛けると、
マグカップを両手で包み込んだまま
凛の動きが止まった。
……何だ。
俺はまた“重い”ことをしたのか……?
紅茶を入手した後
すぐ凛の元へは戻らず、
凛が商品を見ている様子をしばらく観察し、
その上でマグカップを選んだ。
……確かにこれだけ言ってみると、
ストーカーに近いものがある。
だが、買ってやるなら
凛の好みのものを選びたいし、
凛が喜べるものを
「リヴァイ、ありがとう。」
焦りで早口になりつつあった心の声を遮られ、
凛に目を向けた。