第21章 小出しになんてできない想い
「……あ。寝てた?」
乾いた声を出しながら目を覚ました凛に、
「……ああ。」
とだけ答える。
「この部屋の居心地いいからだね。」
「いつだったか
“綺麗すぎて落ち着かない”
と言ってなかったか?」
「……うーん……前言撤回する。」
少し頬を緩めた凛は起き上がると、
机の上に目を向けた。
「わ。いい匂いがすると思ったら、
この匂いだったのか。」
凛はマグカップに注がれた紅茶を覗き込む。
「もしかして、
あの店の奥で買ってたのってこれ?」
「そうだ。
常連にしか売らねぇんだよ、あの店主は。」
リヴァイはそう言うと、
凛にマグカップを手渡した。