第21章 小出しになんてできない想い
お前が死んだあとの凛はどうなるんだ?
と、いつだったかエルヴィンに
指摘されたことがあったが、
自分は調査で死ぬつもりはない。
いや、いつかは死ぬだろう。
だが、まだ“その時”ではないと思っている。
凛がこの世界に来てから、
ますますそう考えるようになった。
いくら危険な陣形に配置されても、
捨て身覚悟の指示を出されたとしても、
今の自分は全く死ぬ気がしない。
こいつがこの世界に居る限り俺は死なない。
何の保証もないが、
何故かその自信だけは強くあった。
女に好意を寄せることは
調査に出る上で足枷になると思っていたが、
どうやらそうではないらしい。
こいつがここで
俺の帰りを待っていると思うだけで、
例えようのない力が
湧き上がってくるようだった。