第21章 小出しになんてできない想い
リヴァイが部屋に戻ると、
凛はソファーに横になって眠っていた。
「……こいつは最近
よく寝るようになったな……」
リヴァイはそう呟きながら
ソファーの隅に腰掛け、
凛の髪を軽く撫でる。
日本に居た時、凛の睡眠時間は
自分と同じくらい短かったようだったが、
ここに来てからそれなりに
眠れるようになったのかも知れない。
それだけ考えると、
理由は分からないにしても
凛がこの世界に来られたことは、
良かったとも言える。
……だが、一概に良かったとも
言っていられないだろう。
凛がこの世界に来てから
調査にはまだ一度も出ていない。
調査に出ることがあれば、
凛をこの基地で一人にすることになる。
怪我人や医者、料理人なんかは
基地に残る奴も多少はいるだろうが、
凛が心を許せる相手は、
事情を知っている幹部の中にしかいない筈だ。
そうなると、調査に行っている間の凛が
心配でしかなかった。