第3章 互いにご無沙汰の欲求
「……君は本当に努力家だな。
痛いだろう?」
エルヴィンは優しい手付きで、
凛の中指に出来たペンだこを摩る。
「ああ、今日モブリットにも心配されたよ。
でも見た目ほど痛くないから大丈夫。」
エルヴィンを安心させるように笑いかけると、
ペンだこが出来ている中指の先に、
唇の柔らかい感触が伝わった。
「無理をさせてしまってすまない……」
「ううん。
私が勝手にしてることだからね。」
私の指先を愛でる様に
唇で弄ぶエルヴィンに視線を向けると、
しばらくご無沙汰だった欲求が、
じわじわと湧き出てくる。
「君が一生懸命勉強に
取り組んでくれることは嬉しいが、
こんな風に痛々しい姿を見ると、
堪らない気持ちになるな……」
エルヴィンの唾液で湿らされた指先は熱を持ち、
その熱は全身に巡り始めた。