第3章 互いにご無沙汰の欲求
「君は今、覚えることがいっぱいだからな。
俺がどんな団長をしているかなんて情報は、
頭に入れなくてもいい。」
「……そうだね。
何もかも全部覚えきって、
早くエルヴィン団長の側で働けるように
頑張ります。」
少し冗談めかした口調で答えると、
そっと手を握られ、額に唇の感触が落ちてきた。
「あ。勉強中はそういうこと
しないんじゃなかったの?」
「俺を団長と呼ぶ君が
可愛かったから、つい。」
全く言い訳にもなっていない理由を
述べたエルヴィンは、楽しそうに笑みを溢す。
が、私の指先に視線を落とした途端、
少し表情を曇らせた。