第156章 I keep looking for you.
「あの……これ、ナンパですか?
もしそうなら私は絶対無理なので、他を当たって下さい。」
さっきまで軽いナンパに付き合うことだってできるような気になっていたくせに、いざその場面に出くわすと拒否したくなる気持ちしか湧かない。
少し厳しい言い方になった気がしたが、男性は軽く笑ったような声を発した。
「ほう……安心したよ。
そう断って来るということは、今君は色んな男に身体を許している訳ではなさそうだな。」
「……何ですか?
さっきから結構失礼なことばかり言ってきて……
ナンパの仕方、おかしくないですか?」
相手をする気はさらさらなかったが、この人はさすがに失礼すぎるだろう。
……ちょっと物申す必要がありそうだ。
そう思い、顔を上げて、男の顔を見て絶句する。
鼓動の音が一瞬で凄まじく速くなり、自分の瞳が揺らいでいるのが、自分でも分かった。
「ナンパどころか。
プロポーズするつもりで君に声をかけたからね。」
“ナンパ男”は私の隣に屈み、予感は簡単に確信に変わる。
碧い瞳から目が離せない。目を離したくない。
「遅くなってすまない。」
「……エ、ルヴィン……?」
「ああ。」
酔いが一気に醒めた感覚と同時に、抑えきれない動揺が目覚めた。