第153章 ●ありがとう
「はぁっ……、君から攻められると、またいつもと同じようになりそうなんだが。」
エルヴィンは凛から止めどなく落とされる濃厚なキスから逃れ、顔を横に向けたままで一度大きく深呼吸をする。
「仕方ないでしょ。
エルヴィンのその顔見てたら、こっちから積極的にいきたくなるんだもん。」
「……それは俺も同じなんだけどね。」
艶っぽく微笑む凛の首筋に指先を滑らす。
相変わらずこれだけでビクつく身体に興奮を誘われ、そのまま頸動脈をなぞるように下へ下へと指先を移動させた後、柔らかく鎖骨に齧り付いた。
「んっ…、」
「本当にかなりすごい痕だな。
鑑、見てみたか?」
「…見た、よ?」
「こんなにキスマークをつけられて、迷惑に感じなかったのか?」
「……迷惑だと思われたくて、付けたの?」
凛が緩い声を漏らして笑うと、その表情に心臓が小さく跳ね、一瞬言葉を紡ぐことを忘れる。
こんな些細な表情でさえ、魅力的に感じて仕方がない。
「……迷惑を掛けたいとは思っていないよ。
だが、我を忘れて痕を付けることに夢中になりすぎたと、反省はしている……」
また全身にキスマークを付けてしまいたい衝動に駆られるが、それをなんとか抑えながら正直に問いに答えると、凛の顔はまた一層綻んだ。