第152章 最後のチャンス
「凛、今日も一緒に寝るだろう?」
「エルヴィン。分かってて聞いてるでしょ?」
寝室に、いつも通り布団を二組並べて敷こうとしているエルヴィンの問いに、問いで返す。
エルヴィンは「残念」と呟きながらも、布団を二組敷き終えた。
「いや、エルヴィンは今晩元の世界へ帰るんだからね?
今日は一緒に寝られないよ?」
完全に分かっているであろうことを言葉にすると、エルヴィンは布団の上に、正座で座った。
「結局俺は凛の意見を呑み、三日間という短すぎる期限を了承した。
だから、俺の最後の我儘くらい聞いてくれ。」
エルヴィンの正面に、同じように正座をして座る。
真剣な表情を前にして、“我儘”を聞かないままに却下することは考えられない。
我儘の内容を問う前に、エルヴィンは口を開いた。
「凛。君を抱きたい。」
エルヴィンの碧い瞳は、瞬きすることを忘れたように、一心に私のことだけを見つめていた。