第152章 最後のチャンス
期限を設けてからの三日間、エルヴィンとはトイレ以外ずっと隣同士にいた、と言っても過言ではないくらい、常に同じ空間に居た。
映画館で映画を観ると、その間話が出来ないし、思う存分いちゃつけないからと言う理由で、家でお酒と簡単なつまみを用意して映画鑑賞をしたり、手を繋いで近所や街中を散歩したり。
遊園地に行ったり、イルミネーションを見に行ったりと、まるで本当の恋人のような過ごし方をして楽しんでいた。
三日なんて、本当にあっという間だ。
なぜあの時、たった三日なんて短すぎる日数を提示してしまったのだろう。
せめて一週間にしておけば良かった……
だけど、もし一週間にしておいたとしても、同じように「何でもっと長い期間を提案しなかったんだろう」なんてことを考えてしまうことは想像に容易かった。
エルヴィンと私の過ごす時間に、期限は絶対ある。
それを仕方ないことだと納得している。
納得した上で、自分から期限の提案を持ち掛けた。
それでもやっぱり、自分の心の内はエルヴィンと離れたくない気持ちばかりが支配していた。
三日目の夜。
いつも通りエルヴィンと一緒に風呂に入り、互いの欲をぶつけ合う。
最後まですることができなくても、満足させてくれるテクニックをエルヴィンは持っているし、実際にかなりの充足感を得ることが出来ていた。
エルヴィンの欲求もそれなりには満たされているようで、悔しがりながらも納得はしている様子だった。
身体を重ねることを覚えたばかりのカップルでも、ここまで求め合うことはないだろう。
そう思えるくらい、この三日間、前戯だけなのに濃厚な交わりを結んでいた。