第151章 変わらぬ想い
「ミケ、ハンジ。
盗み聞きとはいい趣味じゃねぇか。
お前らいつからここにいるんだ?」
ハンジは、ゆっくり近付いてきたリヴァイの射るような視線から逃げつつ、
「さっきだよ。
二人とも部屋に居ないから、ちょっと心配になって探してて。」
と、軽いタッチでリヴァイの肩をポンポンと叩く。
「本当に君らが心配だっただけだろう。
凛が去ってから、ずっと二人は目に余る様子だったんじゃろう?」
「その通りですよ。
二人とも狂ったように訓練に精を出し始めるし、寝る暇も惜しんでトレーニングするし。
仕舞いには言い寄って来る女の子を悉く冷たく振っていくし。」
「お前……最後のは何故知っているのか聞きたいところなんだが。」
リヴァイの発言に同意したがっているように、モブリットは不審気な表情でリヴァイの横に並んだ。
「お前らこそ、俺たちがこんなことまで知っている理由を、何で知らないのか問いたいよ。」
「……どういう意味ですか?」
「今調査兵団内で一番旬な話題だからね。
凛が兵団を去った今、次にあの二人を落とすのは誰なのか、って。」
「いつの間にそんな噂が……」
モブリットは本当に初耳らしく、ため息交じりの声を出した。
「凛がいなくなってからすぐだよ。
元々あなたたちの人気はすごかったからね。
しかも今エルヴィンは長期休暇をとってることになってる。
だから、必然的に二人に狙いが集中してるってこと。」
「凛が居なくなってまだ3日だぞ?
どいつもこいつも気が早すぎるんじゃねぇのか。」
「だからだろうが。
傷心している間の方が、付け入る隙がありそうだと思われてる。
お前らだって、もし凛が失恋で傷心してたら、すぐにそこにつけこんでやろうと考えるだろう?」
ミケの問いに、リヴァイもモブリットも言い返すことが出来ずに口籠っていると、ピクシスは大きな声で吹き出した。