第151章 変わらぬ想い
「ねぇ、リヴァイもモブリットも部屋に居ないってどういうことだと思う?」
「さぁな。だが、あの二人が慰め合っている姿は想像しにくい。」
足早に、小走りに近い歩き方で廊下を進むハンジの少し後を、ミケがゆったりとした大股でついて行く。
明日は兵団全体が休暇日の為、二人の気晴らしになればと飲みに誘うつもりで部屋を訪れたが、リヴァイもモブリットも部屋にはおらず、心当たりのある場所を回っている最中だった。
「二人は一緒にいないのかなぁ?」
ハンジは二人の行動を考えながら腕を組むと、一旦足を止めた。
リヴァイとモブリットが二人で酒を飲んでいる姿を見たことはない。
というより、あの二人が一緒に行動していること自体、かなり少ない。
仕事でもあまり接点があるとはいえないし、モブリットはエルヴィンとは結構話していたみたいだけど、リヴァイとはそこまで関わりを持っている感じはなかった。
それでも凛がこの世界から居なくなった今、きっと同じような心境であろう二人が意気投合できる気はする。
ハンジがそんなことを考えていた時、ミケは軽くハンジの肩を叩いた。
「取り敢えず、リヴァイのよく行く酒場にでも行ってみるか。」
ミケは思い立ったかのように反対方向に向き直ると、基地の出入り口に向かって足を進め始めた。
「うわ、珍しい!
一緒に飲んでるじゃん!」
リヴァイ好みの、落ち着いた雰囲気で清潔感溢れる酒場の店内に入った瞬間、カウンター席に並んで座るリヴァイとモブリットの後姿が目に入り、ハンジは思わず声を上げた。
「盛り上がってるようだが。
話しかけるか?それとも様子を見るか?」
「そりゃもちろん、遠巻きに会話を盗み聞きするのが一番面白いでしょ。」
「同感だ。」
ミケの問いに即答したハンジの返事に、ミケも勢いよく同意し、二人はカウンター席から少し離れたボックス席で、二人の様子を窺うことにした。