第151章 変わらぬ想い
正面から歩いて来たリヴァイ兵長と、ほぼ同じタイミングで、適度な距離を保ったまま立ち止まる。
リヴァイはモブリットと視線を重ねるなり、フッと息を漏らし、口を開いた。
「お前、さっきまで女といただろう?」
「……兵長こそ、そうですよね?」
思わず問い返してしまうと、予想外の柔らかい表情を目の当たりにし、一瞬目が見開く。
「お前もなかなか鼻がいいな。」
「いえ……
あの、クラバットが少し乱れているので。」
正直に発言の意図を暴露すると、兵長の視線はますます緩んだ。
「そういうことか。」
「……兵長は何故私が女性と居たと……?」
「あからさまに浮かない表情をしてるからな。
予想外の人物から押し倒されでもして、それを拒否して部屋を出た……
大方そんな感じだろう。」
まさにその通りです!と拍手をしたくなるような核心を突いた見解に、驚きを隠しきれず、不意に笑みをこぼしてしまうと、兵長はまた小さく息を漏らした。
「凛が去ってからまだ3日だぞ?
お前を好きな女は随分とせっかちだな。」
「本当に仰る通りです……
でもそれは、兵長が相手をしていた女性に対しても言えることですよね?」
「……まぁ、そうだな。
どいつもこいつも、隙ばかりを狙って来やがる。」
「自分も凛の隙を狙っていた男の一人なので、あまり人のことは言えませんが……
……やっぱり狙われる側は、面倒ですね。」
「ほう……なかなか言うじゃねぇか。」
そう言ってニヤリと頬を緩めたリヴァイは、踵を返す。
「どうせお前も眠れねぇんだろ?
一杯付き合え。」
「ありがとうございます。
喜んでご一緒させていただきます。」
モブリットはリヴァイの背中を追い、少し後ろを歩き始めた。