第151章 変わらぬ想い
「こんな男に、いつまでも時間を割くのは勿体ない。
きっと君は合理的な考えの持ち主だろうから、そろそろそう思い始めてる頃じゃないか?」
「え、」
自分の心理に触れられた。
思わずそう感じてしまい、呆気にとられた声が出た。
「もう一度言う。
どんなに迫られても、俺は君を抱かない。
好きにもならない。
それは君だけに対してじゃなく、これから先誰に対しても、ずっと同じだ。」
もう言い返せる言葉なんてない。
それに、そこまで言い切る男相手に“時間を割くのは勿体ない”。
彼に見透かされた通りだ。
「……後悔しても知りませんよ。」
「ああ。俺が後悔したくなるくらい、君は幸せになってくれ。」
……この嘘のない笑顔を自分だけのものにできた凛さんは、どれだけ幸せだったんだろうか。
自分がもう絶対に手に入らない感情に心を馳せながら、乱れた服を直し、足早に部屋を後にした。