第148章 反省も譲れない想いも
「大人げない…なんてもんじゃないな。」
エルヴィンはシャワーの水を頭から被りながら、微笑混じりに呟いた。
自分の我儘で凛を困らせている……
それなのに、自分の意思をどうにかして貫こうとしている自分に嫌気が差す。
凛の気持ちが分からない訳ではない。
それに、もし自分が逆の立場なら、凛と同じ行動を取ったかも知れない。
凛の言う通り、俺がここに滞在する期間が長くなれば長くなる程、凛はまた俺に依存したくなるかもしれない。
こっちもそれは同じだ。
色々な事を総合的に考えてみれば、完全に凛の出した決断の方が正しい。
……それでも、凛の意見が認められる気がしない。
統計的な考察なんかでは納得できない。
自分の心理は、ただただ凛を強く求めている。
そっちに従いたくて仕方がない。
なんて自分勝手な感情なんだ……
凛と出会ってから初めて芽生えてしまった面倒な感情を吐き出そうと、蛇口を最大まで捻り、シャワーの水を一層強く身体に浴びせた。
その時、
「さ、さむ!何?!もしかして水浴びてるの?!」
背後からかなり焦ったような凛の声が聞こえ、ハッとして後ろを振り向く。
そこには何も纏っていない状態の凛が目に留まり、つい一瞬見惚れてしまうが、すぐに前に向き直った。