第148章 反省も譲れない想いも
「勿論カレーを美味しそうに食べてるところを見ただけで、そう思った訳じゃないよ。
ただ、タイムリミットは今からちゃんと決めといた方がいいと思うの。」
「……タイムリミット?」
「3日後には、エルヴィンを元の世界に帰すよ。」
「3日?!さすがに早急すぎないか?!」
思わず出た上擦った声に、凛が小さく笑い声を漏らす。
が、その声はすぐに憂いた音声に変化した。
「かもね。
……でもそのくらい短い期間にしないと、私はエルヴィンをずっとここに留めておきたくなる。
今だって既に、エルヴィンを帰したくないって心底思ってるのに。」
「俺だって既に帰りたくないと思っているよ。」
「ほら。だからダメなんだよ。」
「いや、そうではなくて……
だからこそ、少しでも長く凛といたい。」
咄嗟に握った凛の手は、少し汗ばんでいる気がして、指を絡ませて握り直した。
元の世界に帰らなければいけないことも分かっているし、自分の意思も最終的には帰ることを望んでいる。
あの世界でやり残したことが、成し遂げたいことがまだ自分には多くある。
だが、それとこれは話が別だ。
調査は終わったばかりだし、今回は被害報告もないから書類も少ない。
だから、一刻も早く兵団の為に帰ることはない筈だ。
確かに兵団内はまた混乱している可能性もあるが、今回はリヴァイがいる。
それに、リヴァイとここへタイムスリップして、元の世界へ戻った時だって、もっと長時間過ごしていたのに体力も精神力も、しっかり取り戻すことが出来た。
それならギリギリまで凛と過ごしても…それくらいの報いがあってもいいだろう。
絡ませた指はゆっくり握り返され、自然と伏せてしまっていた目を凛に向けた。