第148章 反省も譲れない想いも
「エルヴィン、カレーを兵団のみんなにも食べさせてあげたいって考えてたでしょ?」
「……なぜ?」
「顔に出てる。」
また言われ慣れない言葉を掛けられ、反射的に頬に手を当てる。
感情が読み取れない、考えていることが分からない、博打打ちすぎる、そんな言葉ばかり掛けられてきた自分からしてみると、凛のこの鋭い観察眼には度々驚かされていた。
「エルヴィンは本当に……あの兵団にとって、絶対必要な存在だよ。
やっぱり早く帰らなきゃダメだね。」
「カレーを美味そうな顔で食べていただけで、帰ることを急かされるのは納得いかないな。」
そんな嫌そうな顔されても……と、凛はふふっと息を漏らす。
確かに意図せずとも不貞腐れた顔になってしまった気はした。
だが、そうなってしまうくらい、まだこの世界で過ごしていたいと思っている。
凛と身体を重ねることができなくても、凛の側で過ごしたい。
凛の体温だけでも感じていたい。
自分が凛のように、一日置きに眠るようになってから帰ることを考えても遅くはないだろう。
帰る寸法はついているし、まだ焦る必要性を感じていないのが事実だ。