第148章 反省も譲れない想いも
「カレー、初挑戦だよね?どう?」
「……うまい。」
「エルヴィンの口にも合って良かった。」
少し目の輝きを取り戻したエルヴィンの咀嚼している姿を、卓袱台に頬杖を突いて眺める。
本当に美味しいと思ってくれているのだろう。
やっと表情が緩んできたようだ。
咀嚼し終わったのを見計らって、またエルヴィンの口にスプーンを運ぶ。
すぐにエルヴィンの口内に誘い込まれたスプーンを見ながら、自然と笑みが零れる。
「一緒に作ったから早く出来上がったし、美味しいよね。」
「……凛はまだ食べていないよ?」
「ああ…そうだった。
エルヴィンの食べてる顔見てたら、なんか満足しちゃってた。」
ニヤつきが止まらない頬を手で覆うと、エルヴィンはカレーを掬ったスプーンを口元に運んでくれた。
「凛も食べてみてくれ。本当に美味い。」
エルヴィンの笑顔を見ながら、口に運ばれたカレーを頬張った。
代わり映えしない、普段から使っていたいつものカレールーも、エルヴィンと一緒に調理して、食べさせてもらったことで、一気に特別で、素晴らしく美味しい食事に思えてくる。
こんな時間がずっと続けばいいのに……
ついそう思ってしまい、ため息を吐きそうになった時、そのため息はエルヴィンの口から零れ落ちた。