第148章 反省も譲れない想いも
「凛……本当にすまなかった……」
「いいよ、それより晩御飯食べよう?
お腹空いたでしょ?」
「だが俺から誘っておいて、あのタイミングで寝てしまうなんて……
男として情けない……」
「大丈夫だから。
あのエルヴィンは、調査前にエルヴィンと過ごした時の私と全く同じだったし。
気にしないで。」
卓袱台の上に額を押し付け、項垂れたように頭を下げるエルヴィンの髪をそっと撫でる。
完全に私よりエルヴィンの方が落ち込んでいる。
と言うより、私は別に出来なかったことについて落ち込んではいない。
エルヴィンのタイムリミットが迫っていることに悲しくはなったが、身体を重ねることができなかったことについては、さして気にしていなかった。
結局あのラブホテルでエルヴィンが目を覚ましたのは夕方に差し掛かった頃だった。
かなり焦った様子のエルヴィンを宥めながらラブホテルを後にし、スーパーで軽く買い物をしてからおじいちゃんの家に戻った。
そしてエルヴィンに手伝ってもらいながら晩御飯を作り、今に至る。
卓袱台の上にカレーライスとサラダを運び、スプーンを無理矢理に近いかたちでエルヴィンに握らせる。
エルヴィンの顔はようやく上がったが、瞳の揺らぎは、申し訳なさしか感じられない。
「取り敢えず食べようね。
お腹空いてたらますます頭回らないから。」
カレーを一口掬い、エルヴィンの口元に持って行くと、エルヴィンは落ち込んだ表情のままで、ゆっくり口を開いた。