第144章 吐き出され続ける情欲
「…凛…。
一人で楽しんでいたのか?」
「わっ、エルヴィン!」
突然後ろから声を掛けられ、思わず身体が大きく跳ねる。
予想より大分早いエルヴィンの起床に、驚かずにはいられない。
「……もう起きたの?
もっとゆっくりしてて良かったのに。」
「この空間を、たった一人で楽しむなんてズルいじゃないか。」
後ろを向いたままでエルヴィンに話しかけると、不満気な声が近付いてきた。
「いや……普通お風呂は一人で入るものだからね……」
かなり平静を装って話しているが、ここは風呂場だ。
最近の新しい良いラブホテルらしく、広いバルコニーに天然温泉の展望露天風呂が設置されていたので、エルヴィンに気付かれる前に……と、お湯に浸かっていた真っ最中だった。
「この世界は本当に進んでいるね。
こうして時間を問わず、肩までお湯に浸かることが、容易にできるんだから。」
肩甲骨に、エルヴィンの指先の感触が伝わる。
たったそれだけの行動なのに、下腹部がキュッと締まり、簡単に相変わらずの欲が湧き出してきた。