第144章 吐き出され続ける情欲
いつだったか自分がリヴァイに言ったことがある、
「生きるために必要だと思えるもの」
は、既に失っているものであり、これから確実に失うものだ。
ただ依存性が高いだけのものは“愛情”ではないと思う、そうも言ったが、実際今もこの世界に再び訪れたエルヴィンに依存しっぱなしだった。
……自分の愛情への理解は、まだまだ乏しい。
これからエルヴィンがいなくなることが、少し頭を過るだけで、どうしようもない焦燥感に駆られ、涙腺がぼやけてくる。
エルヴィンの胸の中で泣く訳にはいかない。
そう思い顔を上げると、エルヴィンは小さく寝息を立てて眠っていた。
「……やっぱり早く帰さないとダメってことだよね。」
呟くように言葉を溢す。
そっとエルヴィンの腕の中から抜け出し、ベッドを後にした。