第142章 久しぶりのデート
「なるほど。
確かに試着はそこまで勧められなかったね。」
「そうだろう?」
エルヴィンの提案した店で服を買い終え、街中を並んで歩き始める。
「……でも、エルヴィンのその服装のせいで、ますます通行人からの熱い視線が、送られるようになった気がするけど。」
「それは気のせいだ。」
確実に気のせいではない!
心の中で呟きつつ、ネイビーの生地にチョークストライプが施された、クラシックな雰囲気に包まれたスーツを、完璧に着こなしているエルヴィンに視線を向けた。
白のチョークで描いたような、太く輪郭のぼやけた線を特徴とするチョークストライプ柄は、英国紳士のような上品な風格が漂っている。
貫録も適度な主張の強さも、エレガントさまでも兼ね備え、まさにエルヴィンにピッタリのスーツだ。
エルヴィンたちの世界でも、貴族の夜会に行くときなど、スーツやタキシードを着こなしていることは多かったが、種類はそこまでなかったので、今回のようにスーツを一緒に選ぶのはかなり楽しかった。