第142章 久しぶりのデート
「それなら早速出掛けるか。」
「まずはエルヴィンの冬服買わなきゃね。」
「……ああ、そうか。
団服のままだったな……」
あからさまに気の乗らない表情になるエルヴィンを見て、笑い声が漏れる。
前回タイムスリップして来た時に、エルヴィンを連れてアパレルショップを訪れた際、店員にしつこく付き纏われて、まともに買い物が出来なかったことが何度も重なった。
試着を勧められることも異常に多いし、どこの事務所に所属しているのかを聞かれ、所属していないと返すと、信じられない!という顔をされ……
多分、今回もきっとそうなってしまうだろう。
エルヴィンの容姿を見て、接客魂が燃え上がらない店員の方が少ない筈だ。
「またあの面倒なやりとりを繰り返すことになると思うと、今から少し気が滅入る。」
「エルヴィン、何かと綺麗すぎるからね。
色々気になっちゃうし、着て欲しくなるんだよ。」
肩を竦ませたエルヴィンの背中をそっと摩る。
「……色々着て欲しくなる、か。」
「ん?」
「分かった。
今度は店を選べばいいんだ。」
エルヴィンの発言の意味を理解できないまま、悪戯っぽく笑ったエルヴィンに釣られて起ち上がった。