第142章 久しぶりのデート
「俺が凛と過ごしたいんだ。」
穏やかな視線が降り注ぎ、俯いていた顔をエルヴィンの方へ向けた。
エルヴィンは相変わらず、私の気持ちを読み取っている。
そうとしか思えない発言に、また涙腺が刺激される。
「凛が俺たちの世界へ戻れなくても、戻れたとしても。
またこの世界で君と二人きりになれたなら、絶対この選択をしたよ。」
「……ありがとう、」
「こちらこそ、ありがとう。
あの時、俺と鼓動を重ねてくれて。」
ニヤリと微笑むエルヴィンの大きな掌が、いつの間にか私の頬を濡らしていた涙を拭う。
「……ん、確かに…、
エルヴィンと会う順番、最後だったのにね。
それまでに結構長時間、色んな人と過ごしてたのに。」
「ここに来たのは俺じゃない方が良かったか?」
「まさか!
エルヴィンが良かったよ!」
「“エルヴィンが”か。
なかなか嬉しい言葉選びをしてくれるね。」
「本当にそう思ってるからね。」
これは嘘じゃない。
エルヴィンが今ここに居てくれることが、自分にとってどれだけの救いになっているか計り知れないくらいに、ありがたかった。