第142章 久しぶりのデート
「さて。
範司も気を遣ってくれたことだし、今日は二人で楽しむか。」
「え、」
「久し振りに、凛の手料理が食べたい。」
予想していた“楽しむこと”とは、まるで別の提案をされ、一瞬目が泳ぐ。
「凛。
今いやらしい想像をしていただろう?」
「……そりゃ、さっきの範司の言い方からして、そっちだと思うでしょ?」
咄嗟に反論すると、エルヴィンは愉しそうに頬を緩めながら、立ち上がった。
「勿論、そっちも楽しむつもりだが、まずは普通の楽しみ方から。」
軽くウィンクをされて、その色気のある動作に思わず鼓動が速くなる。
まだ自分の心は混乱の最中な筈なのに、エルヴィンのフェロモンは、それすら一瞬忘れてしまう程の艶を含んでいた。
「また凛とデートがしたい。
手を繋いで、普通に買い物をしたり、映画を観たり。
家で一日中ゆっくり過ごす、なんてこともしてみたいな。」
「……エルヴィン、そんなゆっくりしてちゃダメでしょ?」
「大丈夫だ。
調査は終わったばかりだからね。
きっと戻ってからリヴァイたちに袋叩きにされるだろうが、君を俺だけが独占できるなら、それくらい何てことはない。」
きっとエルヴィンは、今の状態の私を一人残して戻ることに、抵抗があるだろう。
そりゃ、あれだけ泣きじゃくる姿を見たら、そう思ってしまうのだって頷ける……
申し訳なさがどんどん込み上げてくる。