第141章 事実の整理
凛が再び携帯を操作し始めたその時、範司の携帯の着信音が響く。
「職場だ。
昼休み中に来ちゃったからなぁ。」
「えっ、今日休みじゃなかったの?」
思わず声を上げた凛を見て、範司は「実は仕事!」と、おどけたように笑う。
「ここ最近、毎日昼と夕方にここ来てたからね。
タイムリミットが迫ってることは分かってたし。
凛が戻ってきてたら……って思うと気が気でなくて。」
「……ありがとう。」
範司の言葉がありがたくて、また涙腺から込み上げてくるものを拭った。
「取り敢えず一回職場に戻るよ。
明日は休みだから、また明日にでも来るから。
今晩は二人で楽しんで!」
いつも通り余計な一言を投げかけた範司は、忙しない様子で家を出て行った。