第141章 事実の整理
「凛。ミケは?」
「……え?」
「御食とは出会っていることになっているのか?」
一瞬目を丸くした凛は、傍らに置かれた携帯電話を手に取る。
「電話番号なら、登録したままの筈だから……
もしそれがあったら……」
「御食と君は出会っていることになる。」
しゃくり上げながらの一言に付け加えると、凛は小さく頷いた。
「凛、待った。」
凛が携帯電話を操作し始めてすぐ、範司は凛の手を握る。
「もしそれで、その人と出会ってないってことが分かっても、私は凛とずっと前に出会ってるんだから。
これからだって、ずっと凛の側にいるからね。」
範司の言葉は、俺の胸にさえも響く。
凛は範司の言葉を聞いてすぐ、また大粒の涙を溢し、深く頷いた。
範司が凛を大切に思っていることは、こうして凛を気にして、頻繁に家を訪れていたであろうことからして確実だろう。
もし御食と出会っていないことになっていたとしても、範司が居れば、凛はいつかきっと、この世界と向き合える日が来る。
そんな確信に近い思いを覚えた。