• テキストサイズ

君と鼓動が重なる時・2【進撃の巨人】

第141章 事実の整理





エルヴィンは凛の肩を摩りながら、暫く沈黙の時間を過ごしていたが、俯いていた凛の視線がフッと上がったことで、手を止めた。


「……もう、絶対戻れない、の?」


しゃくり上げながらの凛の一言は、切なく苦しい色を纏っている。


こんなにも、自分のいた世界に戻りたいと思ってくれている事実が、素直に嬉しい。

だが、こんな風に泣きじゃくる凛を見ていると、胸が強く締め付けられた。



「戻るなら死ぬ覚悟じゃないと無理だろうね。
でも、誰も凛のそんな覚悟を望んでいないでしょ?」


範司の言っていることは正しい。

きっとそれは、凛にも分かっている筈だ。

ただ、今はそれを受け入れることが難しい状態だということは、手に取るように分かった。



凛の啜り泣く音声が、室内に充満する。



凛がこんなにも感情を露わにして泣く姿を見るのは、初めてだった。

いつも泣く時は、堪える様に顔を伏せ、出来るだけ目につかないような泣き方をしていたから、それだけ今は、感情を抑える術が全く見当たらないのだろう。

モブリットもこの世界にはいないと分かった今、凛の不安はきっと尋常じゃない。


その時、ふとあることを思い出した。

/ 1588ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp