第141章 事実の整理
「凛の曾祖父は、その往来が原因で時間軸がズレたり、別の世界にいられる期間が短くなった可能性もありそうだな。」
「うん。そうかも知れないね。
凛のひいおじいちゃんも、なかなか無茶なことするよ……」
さすが好古のお父さんだよ、と、範司は小さく息を漏らす。
「強い眠気に誘われて、起きていられる期間が短くなっていく、って日記には書いてあったけど、凛もそうだったの?」
未だ緩み切った涙腺からは雫が零れ落ち続け、エルヴィンに肩を抱かれたままで頷く。
「凛は最終的には一日おきに眠るようになっていたから、やはりそのままの状態が続くのは危なかったんだな……」
「……それ、かなりマズい状態だったと思うよ。
ホントに、無事戻ってきてくれて良かった。」
範司の深い安堵を表すため息が、部屋の空気になり、静かに漂った。