第141章 事実の整理
「取り敢えず、凛が無事に戻って来られて良かった。」
「何故範司は凛が戻って来ることを知っていたんだ?」
「よし。
じゃぁまず、この資料を見てもらおうか。」
ニヤリと笑うハンジは、卓袱台の上に数枚の紙を並べて置いた。
「これは、凛の曾祖父が残した日記を復元作業した後のもののコピー。
凛がタイムスリップした後、好古に借りて、研究室で復元を試みたんだよ。
かなり時間はかかったけど、これだけ綺麗に読めるようになった。」
「すごい……!!
全然掠れて読めなかった字が、殆ど読める!」
コピー紙の一枚を手に取る。
確かにこれは、あの日記の文字と同じ字体だ。
だが、以前読んだ時とは全く違い、細かい文字まで読むことが出来る。
……現代の技術はすごい。
エルヴィンも同じことを思っているのだろう。
完全に目を丸くして、コピー紙に穴が開く勢いで見入っていた。
「この日記のお蔭で、“タイムスリップ”について、全てが明らかになったと言ってもいいかもね。
日記全部を読むのは大変だろうから、これから要点を纏めた資料を見せるよ。」
資料……
資料作りはハンジも範司も苦手とする作業な筈だ。
丁寧に纏められた資料を手渡され、ふとある人物が思い浮かんでいた。
エルヴィンも同じことを考えていたようで、少し頬が緩んでいる。
「……その資料作ったのって……火口君?」
「ん?火口君?」
範司のその声色から、嫌な予感がすぐに頭を過った。