第141章 事実の整理
「……え、インターフォン……?
何で?」
「俺たちがここにいることを誰かが知っている……
なんてことはないよな?」
さっきまでの甘いやりとりを一瞬で掻き消すような出来事に、思わず小声でエルヴィンと顔を見合わせる。
「……取り敢えず出てみる。
近所の人ってことも有り得るし。」
素早く服の乱れを整えたところで、大きな叫び声が聞こえた。
「凛―――!!!!まだいない?!」
懐かしいとも思えない、つい二日前に聞いたばかりのハンジの声。
……いや、これは範司の方か。
エルヴィンと急いで玄関に向かった。
「凛!…え!?エルヴィンもいるじゃん!!」
顔を見るなり勢いよく抱き着いてきた範司は、ハンジと同じ匂いがする。
範司の腰に手を回すと、心なしか体まで女性らしさを感じた。
「そろそろ戻って来る頃だと思ってたんだよ。
おかえり。」
「範司、ただいま……!
でも、戻って来る頃って……」
「その説明はこれからゆっくりするよ。
エルヴィンも、絶対元の世界に戻れるから。
それだけは安心していいよ。」
範司の言葉に安心すると同時に、酷く落胆している自分も居て、そんな自分に嫌気が差す……
範司に背中を押されるままに部屋に入り、三人で卓袱台を囲んで座った。