第138章 目覚めの時は
「時間軸のズレはなかったのか。」
「うん。
私がエルヴィンたちの世界にいた時間分だけ、こっちの世界の時間も進んでるみたい。」
体力が戻り、歩けるようになったエルヴィンと、リビングとして使っていた卓袱台のある部屋へ移動し、向かい合って早速情報を交換する。
話を照らし合わせてみると、私とエルヴィンが強い眠気に襲われたのは、ほぼ同じタイミングの様だった。
「やはり君の祖父に話を聞きに行く方が良さそうだな……」
「そう思う。
電気もガスも、水道もそのままだから、もしかしておじいちゃんは私がこの世界に戻って来るのを分かってたのかも知れない、と思って。」
「だが、こっちの世界にいる時は、君の自由にすればいい、と言っていたんじゃなかったか?」
「そうなんだよね……
だからもしかしたら、私が違う世界に行ってる間に、何か新たに分かったことがあるのかも知れない。」
「なるほど……」
エルヴィンは、軽く目を瞑った。