第138章 目覚めの時は
「エルヴィン!!!」
部屋のふすまを勢いよく開けると、四つん這いの状態から畳に座り込もうとするエルヴィンが目に入り、咄嗟に身体を支える。
「エルヴィン、大丈夫?!」
ゆっくり顔を上げたエルヴィンの瞳が、私の瞳を捉え、小さなため息と同時に引き寄せられ、強く抱きしめられた。
「……凛、良かった……」
傾れ込みそうになるエルヴィンの身体を支えながら、エルヴィンの腰に手を回し、“生”の感覚を味わう様に全身を密着させる。
「エルヴィン、まだよく分かんないことばっかりで……」
「ああ……そうだな。
だが、これからゆっくり考えればいい。」
もう君が眠り続けることはないんだから、と、掠れた声が耳元で響き、じんわりと込み上げた涙は、すぐに頬を伝う。
今はエルヴィンの方が心配な状態なのに、こんな時でもエルヴィンは私の事ばかり考えてくれている。
申し訳ないのに、ありがたくて嬉しい気持ちが心を満たしていくようで、流れる涙はそのままに、エルヴィンの胸元に顔を埋めた。