第138章 目覚めの時は
「……エルヴィン……?」
横に向いた途端、目に入った人物に目を疑う。
咄嗟に手を伸ばし、頬に触れた。
人の温度を感じ、深い安堵感で大きくため息が漏れる。
それと同時に、心臓の動きは活発化してきていた。
エルヴィンが一緒にこの世界に来ている……
それは、どういうことなんだ?
あのキスをした状態で飛ばされた、ということなんだろうか。
もしそうなら、あのホテルの一室の件は?
頭の中が混乱し、動揺で視線も思考も定まらない。
このまま一人で考えていても埒が明かないだろう。
取り敢えず、今こうなった理由も、これからのことも、エルヴィンが目を覚ましてからゆっくり考えよう。
一旦目を瞑り、自由に身体が動かせる程の筋力が戻るのを待った。