第137章 大切な時間
モブリットの言葉が、頭の中で繰り返し再生される。
この世界で“先”を望むことは好ましくない。
それはこの世界に来た日から、心の何処かで分かっていたことだった。
それなのに、モブリットの口から放たれた“ずっと”がどう足掻いても嬉しく感じて、心が勝手に高揚して、抑えきれない感情が込み上げる。
理性を放り出してモブリットの顔を無理矢理引き寄せると、泣いていたのかと思ってしまうような潤んだ瞳が視界に飛び込み、衝動的に唇を奪った。
考えなければいけないことも、本当は突き放さなければいけない感情も全て放置して、重なった唇の感触を確認し、記憶に刻むように、ひたすらに啄む。
モブリットの唇も、私と同じことを考えているかのように、優しく繊細に、愛撫を続けていた。