第137章 大切な時間
軽く吸い付くように二の腕に何度かキスを落とされた後、流れる様に唇が唇を捕まえる。
柔らかい感触を楽しみたいと思っていても、込み上げてくる欲がそれを許してはくれず、モブリットの唇に軽く齧り付く。
私の情動に応える様に、唇は覆われ、生暖かい感触が口内に侵入してすぐ、それを舌で捉まえ、吸い付くように絡めた。
「っ…、はぁっ……、」
二人の呼吸は互いの口の中だけに存在し、生温い吐息の温度が身体をただただ深く疼かせる。
行為は簡単にエスカレートしていき、ここに居る事実を確認し合う様に、身体を弄り合った。
「凛、愛してる、」
口の奥に溢すように呟かれた言葉は、今にも泣き出しそうな音声で、切ない感情が、胸の奥を酷く締め付ける。
もう何も考えたくない。
何も考えないままに、この声も、感情も、身体も……全て自分のものにしてしまいたい。
そうできたら、互いに楽になれるんだろうか。
自然に絡み合った指先は、解くことを忘れられたように強く繋がっていた。