第137章 大切な時間
「……相変わらず良い身体。」
「ありがとう。」
つい呟くように言ってしまうと、モブリットの頬はますます緩む。
張りのある厚い胸板に指先を滑らす。
モブリットの体温が伝線するかのように、指先から自分の身体が次第に火照っていく。
もしかしたら、モブリットの生肌に触れることができるのは、これが最後になるのかも知れない。
そう思うと、込み上げてくるどうしようもない独占欲が、勝手に言葉を紡ぎ出す。
「「痕、残して」」
不意に被った発言に驚き、思わず途中で言葉を止めた。
「……え、今、」
「痕残していい?
って、聞こうとしたけど、今モブリットも、」
「痕残して欲しい、って言おうとしてた。」
一瞬沈黙し、すぐに笑い声が重なる。
「すごいな、まさかこの願望が被るとは。」
「ほんと、まさかだった……
モブリットがそんなこと考えてるとは思ってなかった。」
「それは俺のセリフでもあるね。」
硬い生肌に包み込まれ、そっと瞼を閉じた。