第137章 大切な時間
「凛、どこでもいい。
凛の独占欲、吐き出してくれる?」
魅力的過ぎる提案に、身体は簡単に熱を帯びる。
「……そんなこと言われたら、すごい目立つところに付けるかもよ?」
「それでいいよ。見せびらかして歩くから。」
「……モブリット、やっぱり変わったよね。」
「凛が俺を変えたんだよ。」
優しい表情を垣間見てすぐ、胸元に窄めた唇を当てた。
「っ……、」
強く吸い付くと、モブリットの吐息が耳元を掠める。
それを何度か繰り返した後、そっと唇を離した。
「……凛。もしかして、」
「うん。キスマーク、つけたことない。」
モブリットが言おうとしていたであろうことを先読みして言ってみると、あからさまに驚いた表情を浮かべるモブリットが視界に入る。
「意外だった?」
「意外、というか……団長や兵長にも?」
「ないよ。
だから付け方イマイチ分からなくて……
痛かったでしょ?」
自分が吸い付いた痕は、想像以上の赤みを帯びている。
キスマークがどういう原理で付くのかは理解していても、それが上手くできるかは別の話だ。
エルヴィンが、初めての割にかなり上手く付けることができていたから、自分にも出来る気でいた。
分かりきっていたことだけど、自分はエルヴィンほど器用じゃない。
これは慣れが必要な行為だったんだな……と思いつつ、モブリットの紅い印を指先で撫でた。