第137章 大切な時間
「モブリット、今何か思ったことあったでしょ?」
何かを考えているようにも、何も考えていないようにも見えるモブリットに、とりあえずそう訊ねてみる。
「え、ないよ。」
……このリアクションは、何か思いついてるな。
一瞬目を丸くしたモブリットを見て、勝手に確信し、問い詰め始める。
「嘘だ。言ってみて?できそうならしようよ。」
「なっ…、ないって、」
「いいから、ほら。」
やっぱり、と言っていいほど、戸惑った表情を浮かべるモブリットとの距離を近付けていくと、笑い声にもため息にも似た吐息が肩に掛かった。
「凛……何でいつもそんな敏感なの?」
「何でだろうね。
モブリットの願望があるなら、叶えたいと強く思ってるからかな。」
正直に答えてすぐ、優しい笑みを溢したモブリットは徐にシャツを脱ぎ始めた。
「んっ?え、脱ぐの?」
「脱ぐよ。
して欲しいこと、脱いだ方がやりやすいと思うから。」
焦った私の声とは対照的に、モブリットは落ち着いた声でそう言って、シャツを脱ぎ去った。