第13章 今度は本当に
エルヴィンに抱き着いたまま、
全く動きの無い凛の髪を
エルヴィンはそっと撫でる。
……が、反応はない。
もしかして、
また気を失わせてしまったのか……?
「……凛?」
懺悔の念に駆られながらゆっくり凛を離して、
そっと顔を覗き込んだ。
「エル、ヴィン……」
視線の合った凛の頬には涙の跡が残り、
その跡を指先でそっとなぞる。
「……すまない。少し乱暴すぎたか?」
「いや……、でもっ、今日のエルヴィン、
やっぱ、おかしい、よ……」
そう答えた凛は、
エルヴィンの腰を掴んだまま、
大きく息を吐いた。