第137章 大切な時間
ミケと入れ違いで部屋に入って来たのはハンジだった。
「次に勝ったのはハンジだったんだね。」
「そう。
多分、あの三人は強欲すぎるんだと思う。
コイントスしてるだけなのに、調査の時と同じ目してて怖いから。
神様はよく見てるよね。」
「ははは、それはそれで嬉しいけどね。」
三人の様子を思い浮かべると、どうしても笑い声が漏れ出す。
「でもハンジって、神様なんて信じるタチだったっけ?」
「いや。
でも今は、いてくれてもいいかなぁ、とは思うよ。」
ベッドの淵に腰掛けたハンジに即座に抱きしめられ、反射的にハンジの腰に手を回した。
「凛、こんなにもこの世界に馴染んで、世の発展に役立ってすらいるんだから、神様も意地悪してないで、凛がここにいられるように操作してくれればいいのに。」
「……本当にね。
もっとこの世界にいさせてくれるなら、私ももっともっと頑張るのに。」
「凛は最初から、頑張り過ぎなくらいだったよ。」
ハンジの熱い体温が、全身を包み込む。
こうして抱き合っていると、普段女性でも男性でも通用しそうな外見も内面も持ち合わせているハンジも、女性特有の柔らかさがあるように感じた。
「ハンジ、ちゃんと眠れてる?食べてる?
班の皆に心配かけない様に」
「大丈夫だってば!
凛はモブリットみたいだねぇ。」
「モブリットの気持ちはよく分かるよ……
ハンジの側近だったら、きっともっと世話を焼きたくなると思う。」
「世話もだけど、やきもちも妬いてたでしょ?」
ハンジの思いもよらぬ問い掛けに、つい言葉を止めた。