第137章 大切な時間
ひとしきり笑った後、緩みきったままの凛の表情を見入る。
まだ調査での疲れはとれていなかったが、この笑顔を見ると、深い安心感で身体が癒されていく気がした。
「ミケ、ありがとう。
やっぱりミケが一番に来てくれて良かったと思うよ。」
「そうか?」
「うん。ミケからなら、これからについての話、
ちゃんと冷静に聞けそうな気がする。」
「……お前もなかなか酷い奴だな。
その話を俺からさせるのか?」
「ごめん。でも、ミケだから頼みたい。
……私、明日にはもう“戻る”ことになるのかな?」
単刀直入な問いに、一瞬言葉を選ぶ。
……が、もう凛も覚悟はできている顔つきだった。
布団から出ている凛の手を徐に握り、すぐに口を開く。
「今晩お前が眠り、明日の朝も本当に目を覚まさないことが確認されたら、お前を“異世界に繋がる部屋”へ連れて行くことになっている。」
「……そっか。」
「それでも、そこからお前をどうやって元の世界へ戻せるのかは不明なままだから、ピクシス司令とも連携を取って、何らかの案を出して、随時試していく予定だ。
だから、あの部屋に連れて行ってすぐ、お前が戻れるかは分からない。」
凛の瞳は、揺らぐことなくこっちを向いている。
……こいつも、ここに来てから随分変わったな。
そう思うと、自然に凛を抱き寄せていた。