第137章 大切な時間
「イカサマ抜きのコイントスの結果、俺が一番初めに凛と過ごす権利を得たわけだが……
それについてどう思う?」
「うん……
まぁ、“あの二人”から相当冷たい視線を向けられたんじゃないかなぁ、とは思う。」
しばらくしてから、一番に部屋に入って来たミケの問いに正直に答えると、ミケの表情は一気に緩んだ。
「その通りだ。
だが、俺だって凛を想っている気持ちは、あいつらと同じ筈なんだが。」
「うーん……
でもあの二人は、そうは思ってないみたいだからね。
エルヴィンも、ミケはまだ落ち切ってない、みたいなこと言ってたし。」
「それはあの二人が、意図的に邪魔してくるからだけどな。
凛と二人の時間を作らせまいと、エルヴィンに休日を操作されたり、せっかく休日が被っても、リヴァイに無茶なトレーニングやら飲みやらに付き合わされたり。
そこまでされたら、なかなか強引に迫る暇はないだろう?」
「ミケ、そんなに妨害されてたの?」
さすがにそれは、あからさまに酷い。
そう思いつつも笑いが込み上げ、思わず肩が震える。
「“お前は転生先で凛とある程度楽しんだんだから、この世界では大人しくしてろ”
と、言われた。
これはただの言い掛かりだと思わないか?」
「うん……確かに酷いね……」
「おい、笑いすぎだぞ。」
ミケに軽く額を弾かれ、視線を上げると、ミケの顔もかなり綻んでいた。