第137章 大切な時間
酷く頭が痛む。
身体が軋んでいるようで、態勢を変える為に腕を動かそうとするが、自分の意思が上手く身体に伝わってくれない。
一旦全身を脱力させ、もう少し意識が鮮明になるのを待つことにする。
……この状態だということは、私はまた一日眠り続けていたのだろう。
頭の中で日付を計算し、今日が調査兵団の帰って来る予定日の翌日だということに気付き、まずは目を開くことに意識を集中させた。
「……凛?」
「ハンジ、おかえり。」
自分で予想していた以上には上手く声が出せた。
今にも泣き出しそうなハンジの顔を見て、釣られて涙腺に力が入る。
「怪我はない?
……また暴走して、モブリットに迷惑」
「かけたと思うけど、みんな無事だよ。」
凛のお陰、と言う声と同時に、ぎゅっと抱きしめられ、思わず目を瞑った。
「戦果はエルヴィンから聞いた方がいいかな?
すぐ呼んで来るから。
できるなら寝ないで待ってて!」
「大丈夫。しばらくは眠くならないから」
そう言い終わるより前に、ハンジは部屋を飛び出して行った。