第137章 大切な時間
基地内に入ってすぐ、立ち止まっていたハンジに続いて、モブリットも足を止める。
「……ピクシス司令?」
「おお。帰ったか。
予定通りに帰れたということは、今回の戦果は期待できそうじゃな。」
「は、はい。ですが、」
「ワシがここにおる理由は、幹部が揃ってからにするか。
そんなに急がんでもいい。
今日は“ゆっくりしている日”だからな。」
少し焦った声を出すモブリットとは対照的に、ピクシスは落ち着いた声で話す。
「……凛に何かありましたか?」
「ああ。」
ピクシスはそれだけ言って、口を閉ざした。
それから暫く、怪我人の手当や各機関への報告、報告書の作成に追われ、それが落ち着いた時は、既に夜が更けた頃だった。
凛が別世界の住人であること知る幹部は全員集められ、ピクシスに連れられて、凛の部屋へ向かう。
そこで目にしたのは、ベッドに横になり、静かに目を瞑る凛の姿だった。