第134章 何度でも
「ピクシス司令も、君が来るのを楽しみにしているよ。
あと、アンカとリコ、それにイアンも。」
「みんな私が行くこと知ってるの?」
「ああ。それを提案してくれたのも司令とアンカだったからね。」
「……そっか。すごく嬉しい。」
やっと頬が緩んだ凛を見て、安堵のため息を漏らしそうになる。
やはり凛は笑っている顔が一番魅力的だ。
自然に凛の綻んだ頬を摩っていると、聞きたいことが次々に浮かんできた。
「それにしても、君はいつの間に駐屯兵団の面々と仲良くなったんだ?
イアンが君をよく知っているのにも驚いたが、キッツ隊長が君のことを気に入っているのにはもっと驚いた。」
「キッツ隊長、私のこと気に入ってた?」
「かなり気に入っていた様子だったよ。
仕事が早く、出来もいい。何より君のものの考え方や仕事に対する姿勢が素晴らしい、と。
彼はどちらかというと気難しい男だと思っていたんだが。
一体何の話をしたんだ?」
「司令と一緒に、ちょっとお茶飲んだことしかないんだけどね。
上手いこと勘違いしてくれたんじゃない?
私、そんなに褒められるような発言をした覚えがないし。」
悪戯っぽく微笑む凛を見て、釣られて表情が緩む。
「君らしいね。
無意識のうちに、人を魅了してしまう。」
「それ。それはエルヴィンのことだからね。」
頬を突かれ、必然的に近付いた顔を片手で引き寄せると、少しの間も置かず唇を重ねた。